武夷山四大岩茶の一つ、 水金亀 は、そのユニークな名前や歴史、そしてクセのない上品な味わいで多くの茶愛好家を魅了しています。この記事では、水金亀の名前の由来や特徴、争いにまつわるエピソード、そしてその味わいについて詳しくご紹介します。
水金亀とは?
水金亀は、武夷山で生産される四大岩茶の中でも比較的新しいお茶で、清の後期にその名が知られるようになりました。
名前の由来
「水金亀」という名前の由来には、以下の2つの説があります:
1.茶葉の枝模様が亀の甲羅に似ているため:枝の色合いが濃淡交互に重なり、亀甲模様を連想させることから命名されたとされています。
2.茶葉の艶が黄金の亀に似ているため:茶葉が光沢のある黄金色を帯びており、富の象徴とされる金の亀を彷彿とさせたことが理由とする説もあります。
どちらにしても、その名前には「富」や「繁栄」を連想させる意味合いが込められています。
水金亀を巡る争い
水金亀の名前が広く知られるようになった背景には、皮肉なことに茶樹を巡る所有権争いがあります。
原木と訴訟合戦
水金亀の原木は、武夷山の天心岩(大紅袍の産地に近い)に自生していました。しかし、大雨の影響で崩れ落ちた茶樹が、下流の兰谷岩に移動。その後、兰谷岩でも再び成長を遂げました。
この状況から、天心岩の所有者と兰谷岩の所有者の間で、原木の所有権を巡る訴訟が勃発しました。この争いは1919年から1920年にかけて行われ、多額の費用が費やされたと言われています。
名前の皮肉な広がり
この争いは当時の人々の関心を集め、面白おかしく報じられた結果、水金亀という名前が皮肉にも一躍有名になりました。このエピソードは、岩茶にまつわる歴史の中でも特にユニークな話として語り継がれています。
水金亀の味わいと香り
水金亀は、名前から「強いクセがある」と想像されがちですが、実際にはとても飲みやすいお茶です。
•香り:控えめな焙煎が施されており、花のような優しい香りが漂います。
•味わい:クセがなくスッキリしており、ほのかな甘みとまろやかな後味が特徴です。
•余韻:岩韻を含みながらも、柔らかい印象を与える仕上がりになっています。
外見と茶湯の色
•茶葉:力強く大ぶりで、茶緑色をしています。
•茶湯:透明感のある茶色から黄金色に近い色合いを持ち、見た目にも上品さを感じさせます。
水金亀の楽しみ方
水金亀の持つ繊細な味わいと香りを最大限に楽しむためには、適切な淹れ方が重要です。
おすすめの淹れ方
1.茶葉の量:3~5g
2.お湯の温度:90~95℃程度
3.抽出時間:30秒~1分
4.回数:4~5煎まで楽しめます。
水金亀は、回数を重ねて淹れるたびに風味が変化するため、煎を重ねることでその魅力をより深く味わうことができます。
お菓子と一緒に味わうのもよい
水金亀は、和菓子やフルーツなど、甘さ控えめのお菓子と相性が良いです。特に、柑橘系のスイーツやナッツを使用した焼き菓子との組み合わせがおすすめです。
名前を奪い合うほどの魅力「水金亀」
水金亀は、そのユニークな名前や背景、そして上品な味わいで岩茶の中でも特別な存在です。大雨で崩れ落ちた茶樹が別の場所で再び成長し、所有権を巡る争いを引き起こしたエピソードは、まさに岩茶ならではの物語と言えるでしょう。
名前を奪い合うほど評価の高い水金亀。その背景を知れば、より一層その一杯に特別な味わいを感じることができるはずです。ぜひ、水金亀の豊かな香りと味わいをお試しください。