三大産地以外の烏龍茶をご紹介

烏龍茶と言えば、福建省安渓の鉄観音や武夷山の岩茶、そして台湾烏龍茶が有名ですが、これら三大産地以外にも、烏龍茶が生産されている地域があります。特に福建省とその周辺で作られる茶葉には、独特の特徴を持つ銘茶が多数存在します。本記事では、広東省や福建省内のその他の地域で生産される烏龍茶の魅力を詳しくご紹介します。

烏龍茶の地域性と華南地区

烏龍茶は、その生産地の土壌や気候の影響を大きく受けるため、地域性が強いお茶です。主に福建省とその周辺で栽培されており、地図上で言うと「華南地区」に位置します。

華南地区の主要エリア

•福建省:武夷山や安渓を含む烏龍茶の本場。

•広東省:福建省の西隣で、潮州市などが烏龍茶生産の中心。

華南地区では、福建省の漳州市と広東省の潮州市が隣接しており、混同されやすい地域です。潮州市は茶葉生産が盛んで、単ソウ茶が有名。一方で、漳州市は茶文化や茶芸が発展したエリアです。

福建省周辺で生産される代表的な烏龍茶

三大産地以外でも、福建省や広東省で独自の個性を持つ烏龍茶が生産されています。その中でも注目すべき4種類をご紹介します。

単ソウ茶(たんそうちゃ)

単ソウ茶は、広東省潮州市の鳳凰山などで生産される烏龍茶です。「単ソウ」とは、一本の大きな茶樹から収穫される茶葉を指します。この茶樹は周辺環境の影響を受けやすく、近くにある果物や花の香りが自然と茶葉に移るため、非常に香り高いお茶に仕上がります。

特徴と銘木

単ソウ茶には、約80種類の銘木があり、それぞれが異なる香りを持っています。代表的な香りは以下の通り:

•黄枝香(こうしこう):クチナシの香り。

•桂花香(けいかこう):キンモクセイの香り。

•蜜蘭香(みつらんこう):フルーツのような甘い香り。

単ソウ茶は、現在も品種改良が進んでおり、新しい香りや特徴を持つ茶葉が日々生まれています。

仏手(ぶっしゅ)

仏手は、その名の通り、茶葉が仏様の手の形に似ていることから名付けられました。烏龍茶の中でも最大級の大きさを持つ茶葉で、厚みはありませんが繊細な香りと軽やかな味わいが特徴です。

生産地と発酵度

仏手は福建省南部や台湾でも生産されており、発酵が浅めで仕上げられることが多いです。そのため、味わいはあっさりとしており、初心者にも飲みやすいお茶とされています。

水仙(すいせん)

水仙種は福建省北部で生産され、一部は武夷山でも栽培されています。茶葉は岩茶に近い見た目を持っていますが、スッキリとした飲みやすさが特徴です。

特徴

•焙煎:岩茶よりも控えめな焙煎。

•味わい:濃厚ながらも軽い後味。

水仙はそのバランスの取れた味わいから、武夷岩茶以外の烏龍茶を試してみたい方におすすめです。

色種(しきしゅ)

色種は烏龍茶の輸出品として古くから親しまれている茶葉です。福建省全域で栽培されており、特に輸出用としての流通量が多いのが特徴です。

等級と味の違い

色種には細かな等級があり、特級から8級まで存在します。

•特級・1級:鉄観音など高級茶にも劣らない品質。

•5級以下:品質がやや劣り、日常用の烏龍茶として利用されることが多いです。

輸出用として広く流通しているため、海外で「烏龍茶」として提供されるお茶の多くが色種と言えます。

まとめ

烏龍茶は、以下の三大産地を中心に生産されています

1.武夷山(福建省北部)

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2.安渓(福建省南部)

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3.台湾(中部・北部)

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しかし、それ以外の地域にも美味しい烏龍茶はたくさんあります。特に、次の4種類は試してみる価値がありますよ。

  • 単ソウ
  • 仏手
  • 水仙
  • 色種

烏龍茶は地域性が強く、三大産地(武夷山、安渓、台湾)が中心ですが、その周辺地域でも少量ながら高品質な茶葉が生産されています。単ソウや仏手、水仙、色種といった茶葉は、地域を超えた品種改良や輸出の広がりによって、今後さらに注目される可能性があります。

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