黄茶 の魅力を徹底解説 | 特徴・種類・美味しい淹れ方を紹介

黄茶 (こうちゃ)は、軽度の発酵を経た後、独特の「悶黄(もんこう)」という工程を施すことで、特有の風味と黄色の茶葉・水色を持つお茶です。製造過程では、茶葉を加熱して酵素の働きを止める「殺青(さっせい)」の後、茶葉を包んで湿熱状態に保つ「悶黄」を行い、これにより独特の香りと味わいが生まれます。 

黄茶とは

黄茶は、爽やかな味わいと黄色い水色、高い香りを特徴とするお茶で、その歴史は16世紀の明代に始まるとされています。「緑茶」の非発酵、「紅茶」の全発酵、「黒茶」の後発酵に対し、黄茶は「白茶」と並ぶ弱発酵茶に分類されます。その製造工程は本質的に緑茶と似ていますが、「悶黄(もんこう)」という工程が加えられる点が大きな特徴です。この悶黄によって茶葉が自然酸化し、黄茶特有の風味や色が生まれます。

黄茶の発酵は、「紅茶」や「青茶」のような茶葉自体の自然発酵ではなく、「黒茶」と同様、茶葉中のカテコール成分の自然酸化によるものです。ただし、黒茶よりも酸化の度合いが軽いため、味わいや香りは緑茶に近いものがあります。

黄茶の分類

中国では、黄茶は加工される茶葉の柔らかさによって黄大茶と黄小茶に分類されます。

  • 黄大茶:柔らかさが比較的少ない茶葉を原料とし、大規模生産されることが多い。
  • 黄小茶:柔らかい茶葉を原料とした高級黄茶。希少で繊細な味わいを持つ。

主な銘茶

  • 蒙頂黄芽(もうちょうこうが)(四川省):四川省雅安市蒙頂山で作られる黄茶で、柔らかな芽と淡い黄色の水色が特徴です。
  • 君山銀針(くんざんぎんしん)(湖南省):湖南省洞庭湖の君山島で生産される高級黄茶で、細長い銀色の芽が特徴です。
  • 遠安鹿苑(えんあんろくえん)(湖北省)
  • 平陽黄湯(へいようこうとう)(浙江省)
  • 霍山黄芽(かくざんこうが):安徽省霍山県で生産される黄茶で、細かい芽と甘みのある風味が特徴です。

黄茶の特徴

黄茶の製造工程

黄茶は、緑茶と似た製法を持ちながら、「悶黄(もんこう)」という独自の工程により渋みが抑えられ、まろやかな味わいと独特の香りを持ちます。茶葉と抽出液は淡い黄色を呈し、胃に優しいとされています。

以下は一般的な黄茶の製造工程です

殺青(さっせい)

熱処理によって茶葉の発酵を止め、鮮やかな緑色を保つ工程です。

揉捻(じゅうねん)

茶葉を揉んで細胞を破壊し、成分が抽出しやすくなるよう加工します。

初こう(しょこう)

茶葉を火で炙り、6割程度の水分を飛ばす工程です。

攤涼(たんりょう)

炙った茶葉を広げて冷まし、熱を均一化させる作業です。

再こう(さいこう)

二度目の火入れで、茶葉の水分をさらに8割程度飛ばします。

悶黄(もんこう)

黄茶特有の工程で、茶葉を布や紙袋で包み、一定時間放置して自然酸化を進めます。この工程により黄茶特有の色と香りが生まれます。

「悶黄」の時間や方法は銘柄ごとに異なり、これによって銘柄の個性が決まります。

北港毛尖(ほくこうもうせん)(海南省岳陽)

茶葉を箕に広げ、布をかぶせて30分程度酸化させます。

平陽黄湯(へいようこうとう)(浙江省)

悶黄は2~3日間行い、ゆっくり酸化を進めます。

君山銀針(くんざんぎんしん)(湖南省)

茶葉を紙袋に詰めて木箱に入れ、2回に分けて念入りに悶黄を行います。1回目は48時間、2回目は24時間かけて仕上げます。

乾燥(かんそう)

最後に茶葉を完全に乾燥させて仕上げます。炭火で行うことが一般的です。

美味しい淹れ方のポイント

• 茶葉の量:150mlのお湯に対して3gの茶葉が適量です。
• お湯の温度:70〜80℃のやや冷ましたお湯を使用します。
• 抽出時間:1煎目は1分、2煎目以降は30秒ずつ延ばすと良いでしょう。

黄茶は生産量が少なく、希少価値が高いお茶ですが、その独特の風味と香りは一度試す価値があります。ぜひお楽しみください。

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