白鶏冠 の魅力 | 伝説・特徴・美味しい飲み方

中国福建省の世界遺産・武夷山で生まれた 白鶏冠 は、武夷山四大岩茶の一つであり、岩茶の中でも特に優雅で女性的なイメージを持つお茶です。他の岩茶にはない繊細な味わいが、多くの茶愛好家を魅了しています。

白鶏冠とは?

伝説の母鶏と茶木の誕生

白鶏冠という名前は、武夷山のお寺で僧侶が茶園を手入れしている際の出来事に由来しています。

ある日、僧侶が鶏の叫び声を聞き、茶園に駆けつけると、母鶏が雛を守るために外敵と戦っていました。雛は無事でしたが、母鶏は命を落としてしまいます。僧侶はその母鶏を哀れみ、茶園に葬りました。

翌年、母鶏の墓から白紫色を帯びた葉を持つ茶木が芽吹きました。その葉は縁が白くギザギザしており、鶏のとさかのように上向きに曲がっていたことから、「白鶏冠」と名付けられました。この伝説は白鶏冠のイメージを特別なものにしています。

白鶏冠の歴史

白鶏冠は、岩茶の中でも非常に古い歴史を持ち、明代からその存在が確認されています。その記録は、張元の著書『茶禄』に記されています。

『茶禄』は、唐代の陸羽による『茶経』と並び、中国茶文化を語るうえで重要な文献です。張元の記述において、白鶏冠は「蘭の香りが漂い、純粋で滑らかな味わいを持つ特別な茶」として紹介されています。これは白鶏冠が、古くから高い評価を受けていたことを示しています。

白鶏冠の特徴

白鶏冠は、一般的な岩茶と比較して繊細な特徴を持ちます。その独特の風味や香りが、多くの人々を魅了する理由です。

味わいと香り

  • 香り:ほのかな蘭の香りが特徴で、エレガントで純粋な香りが長く続きます。
  • 味わい:スッキリとした甘みが特徴で、苦味が少なく、上品で滑らかな口当たり。
  • 余韻:岩茶特有の「岩韻」を含みつつも、他の岩茶よりも軽やかで、柔らかな余韻が楽しめます。

外見と茶湯の色

白鶏冠の茶葉は、葉の縁が白く、表面に微細な隆起が見られます。これが茶葉の繊細さを象徴しています。茶湯の色は透明感のある黄金色で、見るだけでも上品な印象を与えます。

白鶏冠と他の岩茶との違い

四大岩茶の中でも白鶏冠は特に特徴的で、他の岩茶と一線を画しています。

例えば、大紅袍や鉄羅漢は力強い香りと濃厚な味わいを持っているのに対し、白鶏冠は繊細で軽やかな味わいが特徴です。これが白鶏冠を特別な存在にしています。

また、白鶏冠は一般的な岩茶よりも発酵が浅く、そのため香りや味わいがより軽やかでフレッシュです。一方で、発酵度が浅い分、茶葉の形状維持や品質管理が難しく、その繊細さが白鶏冠の希少性を高めています。

改良版の白鶏冠の登場

近年では、品質維持や流通を考慮した改良版の白鶏冠も登場しています。これにより、白鶏冠の特徴を損なうことなく、より多くの人々に楽しんでもらえるようになりました。

  • 形状の安定性:真空包装でも茶葉が破損しないよう改良されています。
  • 茶湯の色と風味:改良版でも、伝統的な白鶏冠と同様の色合いと味わいが楽しめます。
  • 茶葉の見た目:葉の縁の白い波模様や微細な隆起、緑と白の筋がはっきりと見られます。

白鶏冠の楽しみ方

美味しい淹れ方

白鶏冠を楽しむには、適切な淹れ方を知ることが大切です。

1.茶葉の量:3~5g

2.湯温:90~95℃

3.抽出時間:30秒~1分(短時間で数回に分けて淹れるのがおすすめ)

白鶏冠は、煎を重ねるごとに風味が変化します。その変化を楽しむため、何度も淹れ直す「工夫茶」スタイルが最適です。

食事との相性

白鶏冠の繊細な味わいは、フルーツタルトや軽い焼き菓子などのスイーツとの相性が抜群です。また、ナッツやドライフルーツと組み合わせることで、さらにその香りを引き立てることができます。

まとめ

白鶏冠は、四大岩茶の中でも繊細な味わいを持つお茶として多くの中国茶愛好家を魅了しています。

発酵の浅さや繊細さゆえに扱いが難しい一方で、進化した改良版の白鶏冠も登場しており、より手軽にその魅力を味わえるようになっています。

コメント

  1. […] 武夷山の「大紅袍」を筆頭に、「白鶏冠(はっけいかん)」「水金亀(すいきんき)」「鉄羅漢(てつらはん)」を加えたものが「武夷の四大岩茶」と呼ばれます。これらの岩茶は、武夷山自然風景区の九曲渓や三十六峰、九十九岩などの景勝地で、岩にしがみつくように生育する茶樹から作られたため、「岩茶」という名がつけられました。そのため、生産量は少なく希少です。 […]

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